青年達の織りなす、甘く苦く、どこまでも切ないピュアラブストーリー

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生まれ育った小さな町で、旅館の跡を継いだいちの。田舎の旅館のシーズンオフは暇で、はっきり言って特に仕事も無い。そんなある日、10年ぶりに幼なじみのハルが帰って来るという話を聞いた。久し振りに行われる同窓会に参加する為だ。しかもハルは、いちのの旅館に泊まるという。10年前、ハルが町を出て行くまでは、誰よりも側にいたハル。けれど、いちのとハルの間には、もうあの頃の空気は無い。ハルに会うのに少しばかり緊張をして、いちのは駅まで車を走らせた。

時は戻らない。あの時、俺達の時間は止まったのだと思っていた。それなのに……

久し振りに会うハルは、空気が変わっていた様に感じた。けれどそう感じたのも一瞬で勘違いかと感じるほど明るく笑うハル。何気ない話をしながら車を走らせ、旅館へと向かういちの。いちのはその中で不思議に思いながらも、今度はハッキリと感じた。もう、あの頃のハルは居ない。隣に座るハル、それはもう別のハル。ハルを横目で見ながら、いちのは記憶の中の、あの頃のハルに思いを馳せていた。

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電車を乗り過ごしたあの雨の日。俺たちは雨の中長い時間ホームで待つのが嫌で、いつものようにいつもの場所に行った。そこで行われる事は、2人の間では至極当然の事。互いの熱を分かち合い、全てを見せ合う、それは当然の事だった。けれどそれももう昔の話。そしていちのは知っている。ハルには結婚を考えた彼女が居るのだと。その言葉はいちのの胸に突き刺さった。明らかに彼の心は波立ち、ざわめいた。それが何を意味するか、いちのは気付いていたのかもしれない。2人の間に横たわる時間という名の溝。「3650日の残像と、一瞬の花」は、不器用な青年達の織りなす切ない想いに胸が震えるピュアラブストーリー。彼らの時間が再び動き出す。

 

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▲駅で待ちぼうけを食らった時は、2人で熱を舐め合うのが常だった。ハルの与える刺激に頬を染めるいちの。彼が感じているのは体の刺激だけではない。彼は確かに、ハルと気持ちを重ねる心地よさを感じているのだった。

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▲いちのの気持ちを知ってか知らずか、いちのに触れるハル。固まるいちの。笑って誤魔化すハル。彼らの思いは、まだ交わらない。

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▲ふいに抱きしめられるいちの。ハルの紡ぐ言葉に、いちのは……?

 

 

タイトル 3650日の残像と、一瞬の花
出版社名: オークラ出版
価格(税込) 126円
発売日 2013年11月1日
2014年03月02日 21時18分
カテゴリ: BL同人
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